テストが返却されたとき、こんな言葉を漏らす者がいる。
「こんなはずじゃなかった」
「本当の自分はこんなもんじゃない」
しかし、残念ながらそれは幻想である。
返ってきた点数こそが、今の実力であり、厳然たる事実である。
いくら悔やんでも、いくら理想の自分を思い描いても、目の前の答案用紙が語る点数を変えることはできない。
にもかかわらず、自分を守るために言い訳を繰り返す者が後を絶たない。
私は、こうした思考パターンの生徒を密かに「言い訳くん」と呼んでいる。
「たまたまだった」
「出題が偏っていた」
「時間配分に失敗した」
「問題の質が悪かった」
こうした発言を繕って、自分を納得させようとする姿勢が、成長を止めるのだ。
本来向き合うべきは、テストそのものではない。準備不足だった自分自身である。
どれだけ勉強したか、どれだけ練習を積んだか。点数は、それらの蓄積が露わになった結果でしかない。
悔しさを覚えるのは悪くない。むしろ当然だ。
しかし、それを言い訳に逃げるのか、それとも悔しさを力に変えて進むのか。そこに決定的な差が生まれる。
重要なのは、自分の至らなさを認める勇気である。
そこからしか、すべては始まらない。
どんなに苦くても、現実を直視しなければ次の一歩は踏み出せない。
テストの点数は、あくまで“今の地点”を知らせるサインであって、ゴールではない。
だがそのサインを見て見ぬふりをする者に、前進の資格はない。
“言い訳くん”を卒業せよ。本当の勝負は、そこからだ。