先週の水曜日、塾のない日、中学2年生および中3公立上位コース生にはこんな英文を課題として出しました。「たった1文」としっかり向き合ってもらうための練習です。
◆課題の一文
I tried to find a quiet place to stay because hearing thunder during a spring storm made me afraid.
◆文法解説
この1文には、中学2年生で学ぶべき重要な文法事項が「これでもか!」というくらい詰め込まれています。今日は以下の5つに注目してみましょう。
① try to ~:~しようとする
I tried to find
→「私は~しようとした」という形。ここでの to find は try の目的語としての 不定詞(名詞的用法)ですね。
② 不定詞の形容詞的用法(to stay)
a quiet place to stay
これは、不定詞が 名詞(place)を説明している用法です。
- a book to read(読むべき本)
- something to eat(食べるもの)
のように、「どんな~なのか」を説明するとき、不定詞は形容詞の役割を果たします。
a quiet place to stay
→ 「滞在するための静かな場所」
このように 名詞の後ろから説明する形にも慣れておきましょう。英語ではこの形がとてもよく使われます。
③ because ~:~なので(理由を示す副詞節)
because hearing thunder during a spring storm made me afraid
→ 「春の嵐の中で雷の音を聞いて怖くなったから」
ここで「because」が導いているのは、「なぜ静かな場所を探したのか?」の理由です。
また、従属接続詞の後は完全な文が来ることも大事な知っておくべき情報です。
④ 動名詞(~すること)を主語にする構文
hearing thunder during a spring storm
→「春の嵐の中で雷の音を聞くこと」
このように 動詞+ing(動名詞) を文の主語として使うことができます。今回はbecauseのあとだったので、主語が来るはずと思っているところに-ingの形が来ており、これを主語として読むには動名詞と考えるしかありませんね。主語になれる品詞は名詞しかありませんので。
例:
- Reading books is fun.(本を読むことは楽しい)
- Playing soccer is exciting.(サッカーをすることはわくわくする)
「~すること」=【名詞的な役割】をするのが動名詞です。
⑤ make+人+形容詞:第5文型(SVOC)構文
made me afraid
→ 「私を怖がらせた」
これは 第5文型(SVOC) の典型的なパターンです。
- 主語(S):hearing thunder(雷を聞くこと)
- 動詞(V):made(させた)
- 目的語(O):me(私を)
- 補語(C):afraid(怖い状態に)
つまり、「目的語Oがどんな状態Cになったのか」を動詞makeが“作り出す”構文です。
例:
- The news made her happy.(その知らせは彼女を幸せにした)
- This movie makes me sleepy.(この映画は私を眠くさせる)
◆スラッシュ訳と日本語訳
I tried to find / a quiet place / to stay / because hearing thunder / during a spring storm / made me afraid.
私は見つけようとした/静かな場所を/滞在するための/なぜなら雷の音を聞くことが/春の嵐のあいだ/私を怖がらせたから
▶ 日本語訳例:
春の嵐の中で雷の音を聞くことが私を怖がらせたので、滞在するための静かな場所を見つけようとしました。
➡春の嵐の中で雷の音を聞いて怖くなったので、私は滞在するための静かな場所を探そうとしました。
◆今日のまとめ
文法項目 | 用法・ポイント |
---|---|
try to +動詞 | ~しようとする(努力の意思を表す) |
不定詞の形容詞的用法 | 名詞を後ろから説明する(例:a place to stay) |
because+文 | 理由を説明する副詞節 |
動名詞(V-ing) | ~すること(主語になる) |
make+O+C(第5文型) | OをCの状態にさせる(例:made me afraid) |
◆中1のみなさんへ
この英文は、新中2の生徒たちがすでに学習した内容を総動員して読んでいます。
でもこれは「特別な子が読める」という話ではありません。
中1のみなさんも、基礎をひとつずつしっかり積み上げていけば、1年後にはこのレベルに到達できます。
そのためにも、「なんとなく」で読み飛ばさず、1文ずつ意味をつかみながら読むクセをつけていきましょう。
◆さいごに
今回の課題文は、「1文でここまで学べるのか」と驚くほどの内容を含んでいます。
塾がない日にもこうした1文にじっくり取り組むことで、真の文法力、読解力が身についていきます。
小さな積み重ねこそが、大きな力に。
英語は、毎日の「気づき」と「継続」がすべてです。