昨日、中2,3の公立高校受験予定者には「高校入試研究会」という冊子を配布しました。この中で注目してほしいページ、内容をちょっと深掘りしようと思います。まずは7ページの「比率による評定と学力検査の関係」から。
1点差で「落ちる」か「受かる」か―その1点の重み、わかってますか?
上位校の入試では、たった1点の差が合否を分けるというのは誇張ではありません。
でもこの「1点」、内申点なのか、学力検査なのか―
その1点が、どれくらいの価値を持っているかまで考えたことはありますか?
公立入試は「調査書」と「学力検査」の合計勝負
神奈川県の公立高校入試では、調査書(内申点)と学力検査(5教科のテスト)の合計点で合否が決まります。
このとき、各高校は「調査書:学力検査」の比率を個別に設定しており、
この比率によって1点の重みが変わってきます。
比率の例と採用校数(2026年度)
比率 | 採用校数(目安) |
---|---|
5:5 | 最も多い(標準) |
4:6 | 比較的多い |
6:4 | 比較的多い |
3:7 | 約10校(やや少数) |
7:3 | 4校程度(かなり少数) |
※2:8や8:2などの極端な比率は、現在神奈川県では採用されていません。どの高校がどの比率かは「高校入試研究会」P13をご参照ください。
「内申135点」ってどういう意味?
神奈川県の調査書点(内申)は、以下のように構成されています:
・中2:9教科 × 5点満点 = 45点
・中3:9教科 × 5点満点 × 2倍 = 90点
→ 合計135点満点になります。
※中1の評定は調査書点には含まれません。
「調査書1点」は、テストで何点分?
学力検査が500点満点で行われることを前提にすると、内申1点が学力検査で何点に相当するかは以下の通りです:
調査書:学力検査 | 調査書1点=学力検査何点分? |
---|---|
3:7 | 1.59点 |
4:6 | 2.47点 |
5:5 | 3.70点 |
6:4 | 5.56点 |
7:3 | 8.64点 |
以上の表が「高校入試研究会」P7の表になります。
逆転を狙うなら、比率と差を冷静に見よ
例1:「調査書3:学力検査7」の高校で内申10点負けていたら?
1点=1.59点に相当するので、
10点 × 1.59 = 15.9点 → テストで16点以上上回る必要があります。
内申で多少負けていても、学力検査で逆転可能な比率です。
例2:「調査書6:学力検査4」の高校で内申10点負けていたら?
1点=5.56点に相当するので、
10点 × 5.56 = 55.6点 → テストで56点以上の差が必要になります。
このように、内申重視の高校では、テストだけでの逆転は非常に困難です。
上位校を目指すなら、「1点の意味」を知ることが武器になる
上位校では、内申点で135点中130点以上、学力検査では500点中400点以上といったレベルの争いになります。
そのなかで「1点」がどんな意味を持つかを正確に理解することで、戦略的な準備と受験校選びが可能になります。
・自分は「内申型」か「テスト型」か
・志望校の比率はどちらに傾いているか
・逆転の可能性はどこにあるか
調査書(内申)の1点と学力検査の1点、それぞれの重みの違いは把握しておきたいところです。