それでも、私は追い出す

「塾に行きたくない」と暴れて動かない。
声をかければ叫ぶ、引っ張れば叩く。
うちの子、おかしくなったんじゃないか―そんな声を、夏になると毎年のように耳にします。

でも、これは珍しいことではありません。
思春期の子どもが、目の前のプレッシャーや不安に押しつぶされそうになったとき、最も身近な存在=親に向かって「爆発」するのは、むしろ自然な反応です。


「行かせる」ではなく、「出す」

私が信頼するある保護者の方は、こうおっしゃっていました。

「行きたくないなら別にいい。でも時間になったら家にはいさせません。
どこで時間を潰そうが、それは本人の選択。私は“出す”だけ。」

このやり方は、一見すると厳しすぎるように見えるかもしれません。

しかし、

ブレない大人の背中は、言葉以上に子どもに響きます。


「今日は行けた」「でも明日はまた暴れた」──それでいい

一進一退で構いません。
5日暴れて、6日目にフラッと塾に現れたとき、
「ああ、この子なりに折り合いをつけようとしているんだな」と思ってください。

そのとき、子どもは気づくはずです。
「うちの親は、どれだけ暴れても、ぜったいにブレなかったな」と。
「今日は行く?行かない?」と毎日聞かれたり、言いなりになる親じゃなかった。

だからこそ、子どもは心のどこかで、こう思えるのです。
「どうせ行かされるんだ。でもそれでいい。そういう家なんだ」

行くかどうかで毎回ケンカするより、最初から“決まっているルール”があるほうが、子どもは気持ちがラクになります。

それが、「逃げ場のない安心感」ということなんです。


親の役目は、「一緒に悩むこと」ではなく「背中を押し続けること」

でも、「家にいればサボれる」「暴れれば親が折れてくれる」と子どもが思ってしまうと、

もう自分から行こうとしなくなります。

親が家に“逃げ場”を用意してしまうと、子どもはずっとそこに甘えてしまいます。

親ができるのは、「塾に行くのが当たり前」という空気を崩さないこと。
どんなに抵抗されても、時間になったら「行ってらっしゃい」とだけ言って、扉を閉めること。


最後に:

子どもが振り返ってこう言う日は、きっと来ます。
「うざかったけど、あれがなかったら俺、終わってたかも」と。

そのとき初めて、あなたの“折れなかった時間”が報われるのです。

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