過去問は“万能薬”ではない―やるべき時期は、人それぞれ―

「そろそろ過去問をやらないと不安で……」
この時期、そんな声をよく聞く。

たしかに、過去問演習は入試対策の中で欠かせないものではある。
出題傾向を知り、時間感覚をつかみ、実戦力を磨く。
どれも重要。

しかし、だからといって、誰にとっても今やるべきとは限らない。
過去問には「適期」があるのだ。


基礎が整っていないうちは、過去問は毒にもなる

模試でまだ安定して点が取れない段階で過去問を解くと、
「何がわからないのか」さえつかめないまま終わることが多い。
その状態でやる過去問は、実力を伸ばす練習ではなく、自己嫌悪を増やす儀式と化す。

たとえば英語なら、単語と文構造が追えないまま長文を眺めることになる。
数学なら、典型パターンが頭に入っていないのに思考力問題に挑んでしまう。
これでは、時間をかけても成果は出ない。

この段階で過去問を解くより、
手持ちの教材を繰り返し、1点でも基礎力を上げるほうが確実に意味がある。
「過去問を1時間やるなら、英単語を100個復習しろ」——これは冗談ではなく、現実的な助言です。


「やる時期」は、人それぞれ

過去問をやるタイミングは、学校別ではなく生徒別

  • 模試で安定して点が取れるようになってきた生徒は、
     出題形式の慣れや時間配分の練習として過去問を使う。
  • 模試で点がまだ伸びきらない生徒は、
     過去問よりも基礎反復に時間を使う。

この判断を誤ると、勉強の方向がずれます。
「過去問=受験勉強」と思い込むのは危険です。


ということで…

過去問をやる必要な時期は、たしかにある。
だが、その時期は人それぞれ。
模試などでまだ点が安定しないなら、過去問は時期尚早。
まずは基礎を叩き直せ。
それが、最短の近道だ。


基礎ができていないうちは、過去問を“見る”ことすら禁じたいくらい。
焦らず、地力を固めること。
その先に、本当に意味のある過去問演習が待っている。

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