最近、SNS上であるニュースが話題になりました。
総合型選抜を専門に扱っていた塾が閉鎖した、というものです。
このニュースを見て、
「そもそも、総合型選抜って何なんだ?」
と感じた保護者の方も多いのではないでしょうか。
親世代には「よく分からない」のが普通
今の保護者世代が経験した大学入試は、非常に分かりやすいものでした。
・一般入試が中心
・点数で合否が決まる
・模試の偏差値を見れば立ち位置が分かる
ところが現在は、
・一般選抜
・学校推薦型選抜
・総合型選抜
と入試の形式が細かく分かれています。
特に総合型選抜は、
・試験内容が大学ごとに違う
・合否基準が数値で示されない
・情報が断片的
といった特徴があり、
「よく分からない」と感じるのは、むしろ自然なことです。
なぜ「入りやすそう」に見えるのか
総合型選抜には、次のようなイメージがつきまといがちです。
・学力試験がない、または軽い
・早く合格が決まる
・個性を見てくれる
そのため、
「一般入試より楽なのでは?」
「勉強が苦手でも何とかなるのでは?」
と感じてしまうことがあります。
しかし、このイメージはかなり単純化されたものです。
総合型選抜とは何か
総合型選抜とは、ひと言で言えば、
学力試験の点数だけではなく、その人が大学で学ぶ必然性や適性を総合的に見る入試
です。
かつてのAO入試が名称変更されたもので、
現在は文部科学省が定める正式な入試区分のひとつです。
一般入試との決定的な違い
一般入試(一般選抜)との違いを整理しておきましょう。
【一般入試】
・筆記試験が中心
・点数で合否が決まる
・模試の偏差値で立ち位置が分かる
【総合型選抜】
・点数試験はない、または補助的
・書類・面接・小論文が中心
・合否基準は数値で示されない
総合型選抜は、
「どれくらい点が取れるか」ではなく、
「なぜこの大学で学びたいのか」
を問う入試です。
総合型選抜で見られているポイント
多くの大学で共通して見られているのは、次の点です。
志望理由の一貫性
・なぜこの学部なのか
・なぜこの大学なのか
・将来とどうつながるのか
大学での学びと、自分の過去・現在・未来が筋でつながっているかが問われます。
言語化する力
志望理由書、小論文、面接など、
総合型選抜は「言葉で説明する場面」が非常に多い入試です。
難しい表現よりも、
自分の考えを筋道立てて説明できるかが重要になります。
高校生活とのつながり
部活動、探究活動、資格、課外活動なども見られます。
ただし重要なのは、実績の派手さではなく、
「なぜそれに取り組んだのか」という理由づけです。
大学側の求める人物像との一致
各大学・学部には、
どのような学生に来てほしいかという方針があります。
総合型選抜は、その方針に合うかどうかを見る入試でもあります。
「学力を見ない入試」ではない
総合型選抜は、学力を見ない入試ではありません。
正確には、
学力だけで判断しない入試
です。
多くの大学では、
・評定平均
・英検などの資格
・小論文での読解力
といった形で、一定の学力を前提条件としています。
総合型選抜が難しいと言われる理由
総合型選抜は、楽そうに見えて、別の意味で難しい入試です。
・合格ラインが見えない
・正解や模範解答が存在しない
・評価に主観が入る
この「見えにくさ」こそが、
総合型選抜の最大の特徴であり、難しさでもあります。
まとめ
総合型選抜とは、
自分という人間が、この大学で学ぶ必然性を、言葉と行動で説明し続ける入試
です。
近道でも、逃げ道でもありません。
一般入試とは、求められる力の種類が違うだけです。
「よく分からないから不安」と感じたなら、
まずは仕組みを知ること。
イメージではなく、理解した上で選ぶことが大切です。
※勉強なしで入れるっていう言葉には要注意です。

