勉強ができる子と、できない子。その差は、意外なところにあらわれる。
たとえば——「いちいち言うかどうか」。
声に出して確認する癖がある子は、なぜか伸びる。逆に、何も言わず、何も確認せず、ただ黙々と作業だけしている子は、なかなか伸びない。
電車の運転士が行う「指差し確認」——安全を確保するための基本動作である。
目で見て、指をさし、声に出して確認する。それを「いちいちやる」ことで、ヒューマンエラーを減らすのだ。
勉強においても、実はこれはとても重要な習慣である。
今、自分は何をやっているのか。
この問題は、どこまで読んだのか。
式を立てるとき、どの数を使って何を出そうとしているのか。
次に何をすべきか。
こうした「確認のつぶやき」が自然と口をついて出る生徒は、例外なく伸びる。
“指差し確認”のように、自分の動作を確認しながら進めるクセがあるから、思考が丁寧で、間違いにも気づきやすい。
一方で、できない生徒の典型はこうだ。
黙って問題を書き写し、黙って計算し、黙って消して、よく分からないまま正解を写して〇をつけて終わり。
式の意味も、答えを導くまでの流れも頭に入っていない。
要するに「やってるフリ」だけが上手い。
勉強の本質は、手を動かすことではなく、頭を動かすことにある。
そして頭を動かすためには、自分自身の思考のプロセスを意識的にたどることが欠かせない。
その第一歩が、声に出して確認すること。
指差し確認と同じように、「いちいち確認する」習慣を、ぜひとも身につけてほしい。
それができるかどうかで、学力の伸びは大きく変わるはずだ。