塾ではよく「生徒に寄り添う指導をしています」という言葉が使われる。
もちろん、私たちも生徒に寄り添うことは大切だと考えている。
ただ最近、こんなことを自分に問いかけるようになった。
それは本当に「寄り添っている」のか。
じつは「すり寄って」はいないか。
寄り添うとは、距離を縮めることではない
「寄り添う」という言葉から、
優しくすること、叱らないこと、気持ちを否定しないこと
を想像する人も多いかもしれない。
しかし、寄り添うとは
生徒の現実から目をそらさず、必要な距離を保ち続けることだ。
うまくいっていない事実。
やれていない現状。
逃げたい気持ちや言い訳。
それらを一度は受け止める。
ただし、基準や目標まで下げることはしない。
これが寄り添う、ということだと思っている。
すり寄る指導は、楽だが前に進まない
一方で、「すり寄る」とは何か。
それは、生徒の感情に合わせて
課題を軽くし、叱らず、期待値を下げることだ。
「今は忙しいから」
「やる気が出てからでいい」
「今回は仕方ないよね」
こうした言葉は、その場では生徒を楽にする。
しかし、行動は変わらない。
結果も変わらない。
すり寄る指導は、
一時的には「優しい塾」に見えるかもしれない。
だが、成績という現実の前では、何も残らない。
厳しさを含むのが、本当の寄り添い
寄り添う指導は、
ときに生徒から「厳しい」と言われる。
それでも、
「やるべきことはやる」
「逃げてはいけないところは逃がさない」
この線を守り続けることが、塾の役割だと思っている。
気持ちには寄り添う。
行動には妥協しない。
このバランスが崩れた瞬間、
寄り添いは、すり寄りに変わる。
問い続ける塾でありたい
正直に言えば、
「自分は寄り添っている」と言い切れる指導者ほど、危うい。
大切なのは、
本当にこれでいいのか、と自分に問い続けることだ。
寄り添っているつもりで、
実はすり寄っていないか。
生徒のためと言いながら、
自分が嫌われないための選択をしていないか。
この問いを忘れない塾でありたいと思っている。

