今日は英検の一次試験日。
でも、ふと立ち止まって考えてみたいのです。
「英検って、だれにとって必要なんだろう？」
難関私立（早慶附属など）を目指す場合
たとえば、早慶附属などの難関私立高校を志望する生徒の場合。
英検2級（＝高校卒業程度）を持っていたとしても、それが入試に直結することはまずありません。
その理由は、「英検2級が簡単」だからではなく、
入試との“出題の方向性がまったく異なる”からです。
英検と早慶附属の違い
| 英検2級 | 早慶附属の入試英語 |
|---|---|
| 実用英語（生活・社会・文化など）が中心 | 物語文・随筆文のほか、学術的トピックも多く多岐にわたる |
| 正確な選択肢・きれいな英文 | 整序・誤文訂正・英作文など形式多様／スピード勝負 |
| 総合的な英語力を測る試験 | 文法・構文・語彙の処理力を問う |
英検を通じて英語の力を高めること自体は意味がありますが、
英検合格＝難関校に通用する力、ではありません。
方向性が違う以上、入試に必要な力を別途鍛える必要があります。
公立高校を目指す場合
公立高校入試では、英検を持っていることが直接的に加点されることはほとんどありません。
ただし最近の公立入試は、長文化・読解重視の傾向が強く、
英検の長文やリスニングに慣れておくことは入試英語の体力づくりとして一定の効果があります。
本当の「使いどころ」
英検が現実的に役に立つ場面は、以下の2つです：
- 私立高校の併願優遇や内申加点に使えるとき
- 内申点が少し足りない生徒が、それを補う手段として
たとえば、
- 「内申があと1足りないけど、英検準2級があればOK」
- 「英検2級があれば内申＋1点扱い」
など、私立高校が具体的な優遇制度を設けているケースがあります。
このような場面では、英検が非常に有効な武器になります。
ただし、注意点も。
英検には、「文法を理解していなくても、なんとなく解けてしまう」という一面があります。
選択肢の雰囲気や消去法で「当たってしまう」ことがあるため、
実力がないのに自信だけついてしまうケースもあるのです。
小学生で英検を受けた子が、
「〇級持ってます！」と自信満々でも、
中学での英文法があいまいで、一からやり直しになることも珍しくありません。
中学生にとってのおすすめ受験ペース
英検は、あくまでも「実力チェック」として使うのが正解。
合格よりも、内容をしっかり理解して“使える”かどうかが重要です。
| 学年 | 目標級 | コメント |
|---|---|---|
| 中1 | 4級 | 基本文法と時制の理解、英文読解の基礎固めに最適 |
| 中2後半 | 準2級 | 読解力・語彙力の養成。高校入試や私立優遇条件にも対応 |
| 中3 | 準2級プラス〜2級 | 「準2級は取ったけど…」という人向けの完成度チェック |
英検 各級の目安と中学生の活用法
| 級 | レベル目安 | 特徴 | 中学生の活用法 |
|---|---|---|---|
| 5級 | 中1前半〜中盤 | アルファベット・be動詞・一般動詞 | 初学者向けの入り口として |
| 4級 | 中1修了〜中2前半 | 現在・過去・未来の時制／比較・助動詞 | 中1のまとめと確認に。基礎の完成確認 |
| 3級 | 中学卒業程度 | 4技能バランス型／面接あり | 中2後半〜中3での目標 |
| 準2級 | 高1基礎レベル | 長文読解・語彙・文法運用の完成度を試す | 中3の目標。高校入試や私立条件に有効 |
| 準2級プラス | 準2級と2級の中間 | 思考力・語彙・構文運用をさらに問う | 準2級後の“実力チェック”としてぴったり |
| 2級 | 高校卒業レベル | 社会問題・論理読解・リスニング力が重要 | 果敢にチャレンジしたい中学生はどうぞ |
最後に。
中学生にとって、英検が“本当に意味のあるもの”になるのは：
- 「準2級の長文や短文が、文法・語彙含めて完全に理解できる」
- 「準2級のリスニングも安定して満点に近い」
そんな状態に到達したときです。
合格はゴールではなく、あくまで通過点。
英語力そのものを鍛えることに価値があるのです。
もちろん、英検を“好きで受ける”こと自体に、私たちは何も言いません。
向上心を持ってチャレンジすることは、むしろ素晴らしいことです。
でも、最後にひとつだけ―
英検のために他教科が手薄になっていない？
全体の学習バランス、大丈夫？
それだけは、ぜひ意識しておいてください。
英検は使い方次第。
目的と意味を明確にして、価値あるチャレンジにしていきましょう。
なお、私立中学生で、英検〇級を中学生で取得してないと高校に上がれないという場合は、もちろん是が非でも取りにいかないといけません！
